政府所有の備品が所在不明となっている件
今、政府所有の備品が所在不明となっている件が、にわかに話題です。
この件は、会計検査院の調査によって判明しました。
そもそも会計検査院は、適正な会計経理が行われるよう常時会計検査を行って会計経理を監督する、憲法上の独立した機関です。検査の結果により国の決算を確認するという職責も負っている機関が、会計検査院です。
平たく言えば、税金の無駄遣いを監視・指摘するのが、会計検査院の役目の一つといえるでしょう。
この会計検査院から、内閣官房と内閣府本府が次のような指摘を受けてしまいました。
重要物品として物品管理簿に記載され、保管中又は供用中とされているが、廃棄された物品が物品管理簿等に記載されたままとなっていた、または、現物の確認ができなかった事態が生じている、という指摘です。
こうした「現物未確認等の事態」により、政府所有の備品が所在不明になっている額は、締めて64億円超。
・内閣官房で、3,469万円の備品が行方不明 ・内閣府本府で、64億3,789万円の備品が行方不明
これって、もとをただせば税金です。
とてつもない金額が行方不明というのですから、驚きです。
しかも、この「現物未確認等の事態」は内閣官房と内閣府本府の2か所で64億円超です。実は、こうした「現物未確認等の事態」は、地方自治体でも指摘がなされていて、問題となっています。全体では果たして一体いくらになるのか、、、大変興味深いところです。
会計検査院の指摘に基づき、内閣官房及び内閣府本府において状況の調査を行っているとのことですが、責任の所在も含め、顛末を詳らかにして欲しいと思います。
会計検査院「内閣官房及び内閣府本府における物品の管理等について」
政府所有の備品が所在不明となっている件に関する質問主意書に対する答弁書
こうした「現物未確認等の事態」のようなことが起こる背景に、国や地方自治体等が採用する「会計」の仕組みに問題があると言われることがあります。
国や地方自治体等では、いわゆる「予算主義」に基づく「収支計算」で「経営管理」を長年にわたり行ってきました。これに対し、民間では「確定決算主義」に基づく「損益計算」で「経営管理」をしていて、同じ「数字」のように見えて、実は微妙に違っているところがミソなのです。
現在、大きな地方自治体等では民間に倣って「収支計算」から「損益計算」に移行作業を行っていますが、こうした作業に伴い民間でいうところの「基本の財務2表」=「損益計算書」と「貸借対照表」が導入されることになります。このうち、貸借対照表の導入が契機となり「残高管理」の重要性がクローズアップされれば、今後「現物未確認等の事態」が都道府県・市町村レベルで報告される機会が増えるかもしれません。
そもそも、残高管理の基本は「P×Q」「入出残」にあります。
そして、帳簿残高と実物残高の整合性を検証するため、「連番管理」と「実地棚卸」が必要になります。
民間では当たり前のこうした動作が、内閣官房と内閣府本府では行われていなかった。こうした事実に、あなたはどう思いますか。
「P×Q」「入出残」「連番管理」「実地棚卸」などという基本的な経営管理の在り方を知ったうえで、異常点を紡ぎたすのが「異常点監査技法」の本質にあります。
異常点からあるべき姿を紡ぎだすには、トレーニングが必要です。
不正会計を見抜くには、時間がかかります。
簡単に見抜けるようなら、こんなに多くの不正事例が発覚するはずもありません。
「異常点監査」の視点がない、だから、不正会計を見抜けないだけなのです。
しかし、「異常点監査技法」は価値創造機構で学ぶことができます。
異常点監査技法を学びたい方、価値創造機構でお待ちしております!