金融庁「再建計画と上位遷移」
『東芝融資に黄信号』
メガバンクの一つ、三菱UFJフィナンシャル・グループが、
東芝の「債務者区分」を「要管理債権」に引き下げ。
こうした内容の新聞記事(2017/5/3)に目が留まりました。
「債務者区分」は、6つ。
そのうち「要管理債権」になってしまったという話。
(債務者区分等の説明は、こちら)
融資実行後の金融機関の関心事は、ただ一つ。
「貸した金は、返ってくるか?」
もしも貸出先=貴社が倒産しようものなら、
貴社も最悪、融資担当者にとっても最悪です。
なぜなら、金融機関の担当者はサラリーマン。
「失点」を恐れるからです。
そこで、最悪の事態=倒産を回避するため、
リスケ=リ・スケジューリング。
いわゆる「再建計画」が必要になります。
再建計画において、金融機関の関心事は、次のような点にあります。
・だれが責任を負うのか? ・自行は不利益を被るのか? ・計画の実行可能性はあるのか? ・貴社の計画が債務者区分にどのような影響を与えるか?
債務者区分との関係でいえば、なるべく上位の区分を維持したいところ。
というのも、「破綻懸念先」以下の債務者区分となれば、
影響が大きいからです。
金融機関は、貸倒処理に備え負担増。
貴社では、貸し剥しにも繋がる。
こうしたことから、金融機関・貴社双方ともに、
「より上位の債務者区分」を望むことになります。
そのため、貴社で「実行可能な計画」策定が必要になります。
『金融検査マニュアル』では、そうした計画がある場合
「上位遷移=ランクアップ」となることを明示しています。
金融機関の支援を得られるよう、チャレンジあるのみ!
計画前の区分 |
債務者 | 計画の種類 | 計画後の区分 | |
中小企業 |
合実 | 実抜 | ||
破綻懸念先 | × | ○ |
× |
要管理先 |
○ | ○ |
その他要注意先 |
||
○ |
○ |
― |
上表は、「破綻懸念先」から上位の「要管理先」、
さらに上位の「その他要注意先」に、
「上位遷移」するために必要な「再建計画」の考え方を示しています。
上表最後の行をご覧ください。
中小企業が「合実計画」を作成すれば、いきなり「2ランクアップ」。
これは、大企業と違う取り扱いです。
大企業の場合、「2ランクアップ」には「実抜計画」も必要だからです。
なお、「合実計画」と「実抜計画」の違いは、下記のとおりです。
合実計画=合理的かつ実現可能性の高い経営改善計画
計画期間が概ね5年以内、かつ、その実現可能性が高く(中小企業の場合、5年を超え概ね10年以内)、計画期間終了後、原則「正常先」となる計画で、全取引先金融機関等の支援合意が文書等で確認できること、など
実抜計画=実現可能性の高い抜本的な経営再建計画
計画実現に必要な関係者との同意が得られ、債権放棄等の支援額も確定し、売上高・費用・利益の予測等の想定が十分に厳しく、概ね3年後の債務者区分が「正常先」となること、など
「合実計画」と「実抜計画」の違いを簡単に説明すれば、
再建計画の対象期間の長短、計画の精度にあるといえます。
中小企業の場合、
金融検査マニュアルで「合実計画」は「実抜計画」とみなされています。
つまり、ある程度予測が可能な「合実計画」を作ることができれば、
「再建計画」として認められ、「新規融資」の道が開けるのです。
この「再建計画」策定時の最大のポイントが「熱意」です。
どれだけ高い熱量を「再建計画」に込められるか、
その熱量を、どう「数字」で表現するか。
役職員一丸となって「やるぞ!」という「熱意」を「数字」で表現する。
こうしたことが実現可能性の高い「再建計画」に必要となります。
ところで、経営再建時、
貴社、そして融資実行した金融機関にとって
最大の関心事の一つは次のようなところにあります。
「その再建計画は実行可能?」
金融機関は、「黒字だから貸す」わけではなく、
「赤字だから貸しはがす」わけでもありません。
「社長の熱意」と「返済能力」を見て、融資を実行します。
「数字で話せる社長」を評価し、
融資を実行したい。
これが金融機関の本音です。
「数字」は、
コミュニケーションツールです。
上手に「数字」を活用することで、「融資」を引き出しやすくなります。
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